ピートモスは、長い年月をかけて分解しきらなかったコケ類や植物が堆積した「泥炭(でいたん)」を採掘・乾燥させた有機資材です。見た目は土に似ていますが、植物由来の繊維質を乾燥させたもので、通常の土とは性質が異なります。保水力と通気性に優れ、土壌改良やブルーベリー栽培など幅広く使われます。主な産地はカナダ、北欧、北海道などです。
ピートモスの2つのタイプと使い分け
無調整ピートモス(強酸性:pH3〜4)
特徴
強酸性で、ブルーベリー・ツツジ・シャクナゲなど、酸性土壌を好む植物に最適です。高い保水力があり、乾燥を防いで根が呼吸しやすい環境をつくります。
使い方
・ブルーベリー栽培の用土にたっぷり混ぜる
・他の土とブレンドする際は、しっかり水に浸してから使う
注意点
・混ぜすぎると土が酸性に傾きすぎ、根の障害や肥料の吸収不良を起こすことがあります
・土壌酸度計でpHを測定し、必要に応じて石灰で酸度を調整してください
調整済みピートモス(中性付近)
特徴
酸度が中性に近く、野菜・花・観葉植物など幅広く使える万能タイプです。ふかふかの土を作り、根張りを良くする土壌改良材として便利です。
使い方
・腐葉土や赤玉土と混ぜて、培養土づくりや花壇の改良に使用
・水をよく吸わせてから使うことで、均一に混ざりやすくなります
注意点
・高い保水力があるため、乾燥を好む植物(トマト・ネギ・ダイコン・カボチャなど)には不向き
・湿った環境を好む植物(サトイモ・ナス・ミツバなど)には最適
まとめ|ピートモスを上手に使うコツ
ピートモスは土のように見えますが、植物由来の繊維質を乾燥させた有機資材です。2つのタイプを正しく理解して使い分けましょう。
- 無調整ピートモス:強酸性で、ブルーベリーや酸性を好む植物向け。酸度管理が重要。
- 調整済みピートモス:中性に近く、一般的な野菜や花など幅広く使える万能タイプ。
どちらも使用前にしっかり水を吸わせることが大切です。植物の種類に合わせて選び分けることで、土壌の保水性・通気性が改善され、健やかな根張りと生育をサポートできます。
参考・出典
- 農研機構「ブルーベリー栽培マニュアル・土壌改良資材に関する資料」
- 北海道農政部「泥炭(ピートモス)の特徴と利用方法」
- カナダ園芸資材協会「Peat Moss in Horticulture: Properties and Uses」