連作障害とは?
「去年はトマトがよく育ったから、今年も同じプランターで!」
そう思って植えたのに、なぜか今年は元気が出ない…。
それは「連作障害(れんさくしょうがい)」かもしれません。
連作障害とは、同じ種類(同じ科)の野菜を同じ場所や土で続けて育てることで、土の栄養バランスが崩れたり、病原菌や害虫が増えて株が弱ってしまう現象です。
特に「ナス科」「ウリ科」「マメ科」「アブラナ科」の野菜は影響を受けやすいと言われています。
よくある症状とその原因
野菜が大きく育たない・実がつかない
→ 土の中の栄養素(チッ素・リン酸・カリなど)が偏ってしまい、生育が止まります。
葉が黄色くなったり奇形になる
→ 栄養の中でも「鉄」「マンガン」「ホウ素」などの微量要素が不足。
微量要素とは、野菜がほんの少し必要とする栄養素のこと。わずかな不足でも葉の色や形に影響します。
根に「こぶ」ができる(根こぶ病)
→ アブラナ科(キャベツ・大根など)を同じ場所で育て続けると、土の中の病原菌が増えて根が変形します。
株がしおれて枯れる(萎ちょう病など)
→ 土の中の病原菌が根に感染して、養分や水分を吸えなくなるため。
センチュウ被害(根がボロボロになる)
→ センチュウは**顕微鏡でしか見えないほど小さな寄生虫(線形動物)**です。
イモムシのような大きな虫ではなく、土の中で根に寄生して栄養を奪い、株を弱らせます。
連作障害が起きる3つの理由
- 養分の偏り
同じ科の野菜は同じ栄養をたくさん使うため、特定の養分だけが枯渇します。 - 病害虫の蓄積
ナス科にはナス科を好む菌やセンチュウが、アブラナ科にはアブラナ科を狙う菌が増えます。 - 生理的なストレス
微量要素不足や根の傷みで、芽が小さくなったり、株全体が弱ってしまいます。
科ごとにローテーションするのがコツ
「じゃあ、どうすればいいの?」というと、答えはシンプル。
同じ科の野菜を続けて植えないことです。
主な野菜の「科」一覧(代表例)
- ナス科 … トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモ
- ウリ科 … キュウリ、スイカ、メロン、カボチャ
- マメ科 … エダマメ、インゲン、ソラマメ
- アブラナ科 … キャベツ、ブロッコリー、大根、小松菜
- セリ科 … ニンジン、パセリ、セロリ
「セリ科はにんじんだけ?」とよく思われますが、実はパセリやセロリも同じグループです。
図解:4つのプランターを使った4年ローテーション
年数 | プランターA | プランターB | プランターC | プランターD |
---|---|---|---|---|
1年目 | セリ科(にんじん等) | マメ科(えだまめ) | ナス科(トマト) | ウリ科(きゅうり) |
2年目 | マメ科 | ナス科 | ウリ科 | セリ科 |
3年目 | ナス科 | ウリ科 | セリ科 | マメ科 |
4年目 | ウリ科 | セリ科 | マメ科 | ナス科 |
👉 同じプランターには、4年間同じ科を植えないようにするのが基本です。
(※図解イメージ)
- プランターA → 年ごとに「セリ科 → マメ科 → ナス科 → ウリ科」と順番に回す
- 4年後に元の科が戻るので、その間に土壌がリセットされる
まとめ
家庭菜園で連作障害を防ぐには、
- 同じ科の野菜を続けて植えない
- プランターや畑をローテーションで使い分ける
この2つが大切です。
野菜の「科」を意識して植え替えるだけで、病気に強く、元気な株を長く育てられます。