いちじく栽培では、枝の先端を切る(摘心)ことで、養分が枝先ではなく果実に回り、実を大きくする効果があるとされています。そこで実際に、庭のいちじくで枝先を切って試してみました。
このいちじくは(ドーフィン) 育てやすくて手に入りやすく人気の品種

- 夏秋兼用種。秋果の1重は70~100g位の大果
- 果形は長卵形果皮は赤褐色~紫褐色。果肉は淡紅色。
- 甘味は中位で酸味は少ない
- 日持ちは良好
枝を切った直後の変化


先端を切った直後、実が色付き始めました。一般的には果実が色付くのは熟成のサインとされますが、この段階で成長が止まってしまうのか、あるいは甘みが増す過程に入ったのか、判断がつきませんでした。
管理方法

不安はありましたが、以下の基本的な管理を徹底しました。
- 十分な水やり
- 適度な追肥
この二つを続けることで、木に負担をかけないようにしました。
その後の結果

結果的には、果実は大きく成長し、甘みも増して無事に収穫できました。摘心によって養分が果実に集中した効果が出たと考えられます。
摘心の一般的なポイント
時期
- 夏果専用種(6〜7月収穫):春先に伸びた枝の先を早めに摘心すると、果実が大きく育ちやすい。
- 秋果専用種(8〜10月収穫):枝がある程度伸び、果実がついたのを確認してから摘心すると、果実に養分が集中する。
方法
- 枝の先端、数枚の葉を残して切る。
- 葉を残すことで光合成が確保され、果実の肥大に必要な養分が作られる。
注意点
- 摘心をやりすぎると、光合成の力が不足して逆効果になることがある。
- 水不足や肥料不足の状態で摘心すると、果実がしぼんだり熟す前に落ちてしまうリスクがある。
- 樹勢が弱っている木は摘心を控えた方が安全。
肥料管理のポイント
いちじくは実をつける力が強い分、肥料切れを起こしやすい果樹です。
基本の施肥
- 元肥:冬(休眠期)に有機質肥料や完熟堆肥を株元に施す。
- 追肥:生育期(5〜8月)に月1回程度、即効性のある化成肥料を少量与える。
摘心後のおすすめ肥料
- 窒素控えめでカリ分が多い肥料が適しています。
(例:果樹用化成肥料、草木灰、液体肥料「ハイポネックス果樹用」など) - 水やりの際に薄めた液肥を与えると、吸収が早く効果的。
参考資料
- 農研機構「いちじくの栽培技術」
- 『果樹の剪定と栽培12か月』(農文協)
- JA各地の果樹栽培マニュアル
まとめ
今回の経験から、いちじくの枝先を切ることは果実を大きくするうえで有効な方法といえそうです。ただし、摘心後には十分な水と肥料を与え、木に過度な負担をかけないことが大切です。
摘心は果実を充実させる有効な作業ですが、木の状態を観察し、適切な肥料管理を組み合わせて行うことが成功のポイントです。