【カンキツ果樹の秋管理】来年の実りを左右する大切なポイント
秋は、カンキツ類(ミカン・レモンなど)にとって翌年の花つきと収穫を左右する重要な季節です。夏の暑さで弱った株を放置すると、害虫被害や寒さでさらにダメージを受けることも。ここでは、初心者でもすぐ実践できる「カンキツ果樹の秋管理ポイント」を分かりやすく紹介します。
1. 害虫と卵を徹底チェック

- 葉裏・枝の付け根:カイガラムシやアブラムシの卵が残っていないか確認。
- ハモグリガ(葉を食害する蛾の幼虫):筋状の跡がある葉はすぐに切り取り処分。
- ヨトウムシ:夜間に葉を食べるため、株元の落ち葉や土の上をこまめに点検。
- アゲハチョウの幼虫:葉を大きく食害するので、卵のうちに取り除くと効果的。
- コガネムシの幼虫:根を食べて株を弱らせるため、鉢や地植えの周囲を軽く掘って白い幼虫を発見したら除去。
2. 秋に伸びる新芽(秋梢)の扱い

- 秋の新芽は寒さで枯れやすく、株の体力を奪います。
- 手で簡単に摘めるので、見つけ次第取り除き、株の負担を減らしましょう。
3. 病害虫を防ぐ環境づくり

- 樹の周りに落ち葉や雑草を放置すると、害虫の越冬場所になります。こまめに掃除し清潔に保つことが大切。
- 剪定は軽く行い、風通しを確保して病気を予防。
- アブラムシなどが目立つ場合は、園芸用石けん水や希釈スプレーでやさしく洗い流すと効果的。
*コガネムシの幼虫、ヨトウムシ予防に『オルトランDX』を土に混ぜ込みました。コナジラミ、アブラムシ予防に『ベニカナチュラルスプレー』を葉にかけました。
4. 秋の肥料管理(お礼肥)

- 夏の暑さで疲れた株には、有機質肥料を少量与えて回復をサポート。
- 施肥は、樹冠の先端に沿った円状にまくのが基本。根元に近すぎると根を傷める可能性があるので注意。
まとめ
秋の管理は、翌年の花つきや果実の出来を大きく左右します。以下の4点を意識しておきましょう。
- 葉裏・株元を点検し、害虫と卵を取り除く
- 秋芽(秋梢)は早めに摘み取って株の体力を温存
- 落ち葉や雑草を掃除し、病害虫の越冬を防ぐ
- 株を元気にするため、お礼肥を適切に施す
秋は「次の実りを準備する季節」です。少しの手入れで、来年のカンキツ果樹をより健康に、美味しい果実を収穫できるようになります。
参考(出典)
- 農研機構 果樹茶業研究部門「カンキツ栽培の病害虫防除指針」
https://www.naro.go.jp/ - JA全農えひめ「柑橘栽培マニュアル|秋の管理と防除」
https://www.ja-ehime.or.jp/ - 日本植物防疫協会「病害虫発生予察情報」
https://www.jppa.or.jp/