宿根草・多年草は、冬に地上部が枯れるタイプと、常緑のまま越冬するタイプがあり、それぞれに適した管理があります。特に秋は、翌春の芽吹きを左右する大切な準備の季節です。この記事では、秋の切り戻しの基本、冬越しのポイント、切り戻しが必要かどうかの見極め方、そして実用的な防寒対策まで、わかりやすく解説します。
宿根草・多年草の切り戻しとは？（メリット）
切り戻しとは、枯れたり乱れた茎葉を整理するために株元近くでカットする作業のことです。秋に切り戻しをすることで次のような効果があります。
- 株がスッキリし、風通しと日当たりが良くなる
- 病害虫の越冬を防ぎ、春のトラブルを軽減
- 翌春の新芽が勢いよく成長
- 株が疲れにくくなり、翌年の生育が安定
適切なタイミングで切り戻すことで、植物は冬を健康に乗り越え、春に美しい姿を見せてくれます。
切り戻しが必要な植物・不要な植物の見極め方
宿根草・多年草には、切り戻しをしなくても冬越しできるタイプと、切り戻しが必要なタイプがあります。見極めのポイントは「耐寒性」と「地上部の状態」です。
切り戻し不要のタイプ（常緑・半常緑）
耐寒性が強く、冬の間も地上部が残るタイプは、無理に切り戻す必要はありません。例えば、ラムズイヤーやヒューケラの一部品種は、冬でも葉を維持するため、茎葉を残すことで寒さから株を守る役割があります。
このような植物は、切り戻しよりも枯れ葉を取り除く病害虫予防と、マルチングや防寒対策をして冬に備えます。
切り戻しが必要なタイプ（冬枯れするタイプ）
地上部が完全に枯れて休眠する宿根草・多年草—例えば多くの宿根草やフウチソウなど—は、冬に入る前に枯れた茎葉を切り戻すことが推奨されます。枯れた部分を残すと病害虫の越冬温床になったり、株元が蒸れて新芽が弱りやすくなるためです。
切り戻しを行うことで、翌春の新芽が健全に伸びやすくなります。
切るか切らないかの判断ポイント
- 冬も葉が残る常緑性かどうか
- 地域の最低気温と植物の耐寒性
- 茎葉が腐敗したり、病害虫の温床になっていないか
冬も葉を残す常緑タイプの多年草は、春まで様子を見て、暖かくなってから軽く剪定したり株分けやサイズダウン（強剪定）をするのがおすすめです。一方、完全に地上部が枯れる植物は、晩秋〜初冬のうちに切り戻すと管理がスムーズです。
秋の切り戻しの最適な時期
切り戻しは11月中旬〜12月初旬が目安です。植物の種類や地域の気候により多少前後しますが、枯れ込みが進んだタイミングがベストです。
- 寒冷地：積雪前（〜11月末）に完了
- 暖地：12月に入ってからでも対応可能
切り戻しの具体的な手順
- 剪定バサミを消毒して準備する こちら→
- 枯れた茎葉を株元3〜5cm残してカット
- 残した茎が、冬の軽い防寒材として働く
- 切った後は株周りをきれいに清掃する
株元に光と風が通ることで、冬の病害虫リスクを減らせます。
冬越しを助けるナチュラルマルチング素材
切り戻し後の株元は、マルチングをすることで保温や保湿になり、寒さに弱い多年草の冬越しが楽になります。
- 落ち葉（広葉樹）：自然で扱いやすい。春には土に還る。
- ワラ：保温性が高く、雪が多い地域にも向く。
- ココヤシファイバー：ふんわりとした質感で通気性◎。
- ピートモス：保湿性が高い。
- 裁断した枯れ草：そのまま利用でき、環境負荷が少ない。
厚みは2～3cmが目安。厚すぎると蒸れの原因になるため注意しましょう。
冬越しに向けた注意点
- 極寒期や積雪直前の作業は避ける
- マルチングは通気性を意識する
- 道具の消毒を徹底し、病気の持ち込みを防ぐ
- 常緑タイプは春先に軽い手入れを行う（サイズダウンしたい時もこの時期に切り戻す）
植物の種類や地域の気候に合わせて、切り戻しの有無を判断することが大切です。適切な管理を行うことで、宿根草・多年草の健康な翌年の生育をしっかり支えられます。
