もみ殻くん炭とは?
もみ殻くん炭(くんたん)は、お米のもみ殻をいぶして炭化させた「多孔質(たこうしつ)」な土壌改良資材です。
「多孔質」とは、スポンジのように細かい穴がたくさん空いた構造のこと。この無数の穴が、空気と水分をうまく保ち、微生物がすみやすい環境をつくります。
家庭菜園や鉢植えの土に混ぜることで、通気性・排水性・保水性を高め、ふかふかの土を長く維持できます。
また、土壌を中和するアルカリ性(pH8〜10)をもつため、酸性に傾きやすい日本の土を整える効果もあります。
もみ殻くん炭の主な特徴と効果
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 通気性アップ | 根が呼吸しやすくなり、根腐れ(根が傷んで腐る現象)を防ぐ。 |
| 保水・排水のバランス向上 | 水をほどよく保ち、余分な水分は逃す。乾燥も過湿も防げる。 |
| pH調整 | アルカリ性で酸性土を中和。ダイコン・ジャガイモなど根菜の生育改善にも◎。 |
| 微生物の活性化 | 無数の穴が微生物のすみかになり、分解や養分循環がスムーズに。 |
| ミネラル供給 | ケイ酸やカリウムなどを含み、植物の耐病性・茎葉の丈夫さをサポート。 |
| 害虫忌避効果 | アブラムシ、コナジラミ、ナメクジなどが寄りつきにくくなると報告あり。 |
| 保温効果 | 黒い炭色が太陽熱を吸収し、地温を上げやすい。春先の育苗にも向く。 |
害虫を寄せつけない理由と効果的な使い方
もみ殻くん炭には独特の炭臭とアルカリ性があり、アブラムシやコナジラミ、ヨトウムシ、ナメクジ、コガネムシ幼虫などが嫌うとされています。
とくに、株元や植え穴に一握りまくと、根元に卵を産みつける害虫の忌避効果が期待できます。
また、くん炭の粒子が乾燥気味でサラサラしているため、害虫の体表の水分を奪って動きを鈍らせるともいわれています。
化学農薬を使わずに防虫を助けたい家庭菜園では、こうした「自然派忌避材」として重宝されています。
もみ殻くん炭は堆肥ではない
よく「くん炭=堆肥」と混同されますが、まったく別の資材です。
| 資材名 | 主な役割 | 肥料成分 | 土壌改良効果 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| もみ殻くん炭 | 土壌改良資材 | ほぼ無し | ◎(物理性改善) | 炭化した多孔質。通気・排水・保水性を改善。 |
| もみ殻堆肥 | 肥料+改良資材 | 有り(窒素・リン酸など) | ◎(肥料+物理性) | 発酵熟成させた堆肥。有機養分と腐植を供給。 |
もみ殻くん炭は肥料分をほとんど含まないため、堆肥や肥料の代わりにはなりません。
ただし、堆肥づくりの際に混ぜると、臭いを抑えたりアンモニア発生を減らす補助効果があります。
家庭園芸・家庭菜園での使い方

1. 基本の混ぜ方
- プランターや鉢植え用の培養土に全体の1〜2割(片手1〜2握り/5号鉢目安)を混ぜます。
- 畑では1㎡あたり1〜2リットル程度を土にすき込むのが目安。
くん炭はとても軽く、風で飛びやすいので、まいたらすぐ土に混ぜ込むのがポイントです。
2. 市販の培養土が重いときに
市販の培養土(園芸用土)は、保水材やピートモスが多く「重め」で水はけが悪いことがあります。
そんな時は、もみ殻くん炭をひとつかみ加えるだけで通気性がアップ。
根が呼吸しやすくなり、過湿による根腐れを防げます。
3. プランター土の再利用時に
古いプランター土を再利用する際は、堆肥・有機肥料と一緒にくん炭を混ぜるのがおすすめです。
- くん炭が微生物の住処となり、堆肥の分解を助ける
- アンモニア臭を抑え、土の通気・水はけも回復
- 土の酸化(固まり・ぬかるみ)を防止
つまり、「くん炭+堆肥+肥料」をセットで混ぜることで、ふかふかで清潔な再生土に戻せます。
4. 根菜や実もの野菜に
ダイコン・ニンジン・ジャガイモなどは酸性土が苦手です。
くん炭(アルカリ性)を1㎡あたり約1リットル混ぜるとpHが安定し、根の割れや変形が減ります。
ミニトマトやナスの株元にまくと、アブラムシ被害を減らせる効果もあります。
注意点
- 入れすぎ注意:アルカリ性が強すぎると、酸性を好む植物(ブルーベリー、アジサイなど)は生育不良になることがあります。
- 肥料成分は少ないため、別途堆肥や有機肥料を必ず補いましょう。
- 風対策を忘れずに:混ぜ込むか、水を軽くかけて飛散を防止します。
- 自作する際は火の管理・煙に注意し、住宅地では市販品を使うのが安全です。
まとめ
もみ殻くん炭は、肥料ではなく「土を整えるための素材」。
通気性・排水性・保水性のバランスをとり、微生物を活性化させ、さらに害虫を寄せつけにくい環境を作ります。
プランターにひとつかみ混ぜるだけで、根が元気に育ち、家庭菜園がぐっと育てやすくなります。
くん炭の効果を最大限活かすコツは、
👉「堆肥・肥料と一緒に混ぜて使う」
👉「風に飛ばされる前に混ぜ込む」
この2点を覚えておくことです。

